看取りと終末期明晰

皆さんは「終末期明晰」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、人が亡くなる直前に、意識がはっきりとして、家族や知人を認識し、思い出や感情を語り出す現象を指します。

長く訪問介護の仕事をしていると、利用者様の最期の瞬間に立ち会うことがあります。そんな時、突然、まるで昔のその人が戻ってきたかのように、意識が明確になることがあります。
この不思議な現象は、科学的な視点からも注目されていて、認知科学者アレクサンダー・バティアーニ博士は、この現象について研究を進めており、世界中から多くの経験談が寄せられています。終末期明晰は、公的に研究されてこなかっただけで、古くからその存在は知られていました。ヘルパーの仕事の中で、経験したことのある人も、少なくないかもしれません。

訪問介護においても、看取り加算が創設され、特定事業所加算においても看取り要件が加わるなど、看取りの重要性が高まっています。
訪問介護ヘルパーにとって、終末期明晰について考えることは、これからますます重要性を増すでしょう。

利用者様の人生の最後の瞬間に寄り添い、その尊厳を支えることは、私たちにとって大きな使命です。
終末期明晰は、私たちにとって多くのことを示唆しています。たとえば、「脳以外に記憶が保存されている可能性」や、「魂と呼ばれるものの存在について」など、生きるとはどういうことか、自己とは何か、人の魂はどこにあるのかといった、深い問いを投げかけています。
この現象を通じて、私たちは利用者様の人生に深く触れ、その人らしさを最後まで大切にすることの大切さを再認識することができます。
終末期明晰は、死というものが単なる終わりではなく、人生の集大成であり、その人の存在の証として捉えることができるのです。

私たち訪問介護ヘルパーは、利用者様の最期の瞬間に立ち会うことで、人生の尊厳とは何か、そして、人としての深い絆とは何かを学ぶことができます。
終末期明晰は、私たちにとって、ただの現象ではなく、人生の教訓となるのです。この不思議で美しい現象を通じて私たちは、人間としての深い理解と共感を育むことができるのでしょう。