共依存の背景とその克服

こんにちは。11月の勉強会のテーマでも取り上げましたが、今日は、私たちの仕事にも関係する「共依存」というテーマについてお話ししたいと思います。

共依存とは、自分と他人がその関係性に過剰に依存しており、その人間関係に囚われている状態のことです。共依存に陥ると、自分の感情や欲求を抑えて相手に合わせたり、相手の感情や欲求を過剰に読み取ろうとしたり、自分の存在価値を相手に委ねたりするようになります。

私は、訪問介護ヘルパーとして働く中で、共依存的な関係にある方々を見てきました。例えば、親が子供に過保護になってしまったり、子供が親の期待に応えようとしてしまったりする場合です。このような関係は、表面的には愛情深いように見えますが、実はお互いを苦しめてしまっています。親は子供の自立を阻んでしまい、子供は親の愛情を失うことを恐れてしまいます。また、親も子供も自分の本当の気持ちや願いを見失ってしまいます。

共依存の背景には、アタッチメントの形成不全や愛着障害が関係している可能性があります。アタッチメント不全や愛着障害とは、幼少期に親や養育者との間に情緒的な絆が形成されなかったことで、対人関係や社会生活に問題を抱える状態のことです。これらの傾向がある人は、自分を愛してくれる人がいないと感じたり、他人を信頼できなかったり、自己愛が低かったりすることが多いです。

このような人は、自分の心の空白を埋めるために、他人との関係に依存しようとします。しかし、その関係は健全ではなく、お互いに束縛したり利用したりすることになります。共依存は、自分や相手の本当の幸せを見失ってしまう危険な関係です。

しかし、共依存から抜け出すことは簡単ではありません。特に、愛着障害を持つ人は、安全なアタッチメントを形成する経験が不足しているため、自分自身で自己愛を満たすことが困難です。その場合、共依存的な関係を通じてでしか、アタッチメントの再獲得ができないこともあります 。

アタッチメントの再獲得とは、安定した養育者やパートナーなど、信頼できる他者との健全な愛着関係を築くことです。この過程では、他者からの支援や助言を受け入れるだけでなく、自分の感情や欲求に気づき、素直に表現することも重要です。また、他者の感情や欲求に気づき、尊重することも必要です。自分と他者との境界線を引きながらも、相互依存的な関係を保つことで、自己愛が高まります。

共依存はセンシティブなテーマですが、私たちは誰でも共依存的な傾向があると思います。それは悪いことではありません。大切なことは、自分と他人の関係に気づき、それを改善していくことです。共依存から抜け出すことは難しいかもしれませんが、一歩ずつ自分を大切にしていけば、より健全で幸せな人間関係が築けると信じています。

以上、共依存についてお話ししました。皆さんの参考になれば幸いです。それでは、またお会いしましょう。