冬の高齢者の健康を守るためのコツと注意点

こんにちは。先週までは日中、半袖で過ごせていたのに、急に真冬な陽気になりましたね。高齢者支援をなりわいとしている私たち訪問介護職が、寒い冬に高齢者が気を付けなければいけないことについて、改めてお話ししたいと思います。

冬は、気温が低くなり、日照時間が短くなるなど、環境が大きく変わります。これによって、高齢者の体にさまざまな影響が及びます。特に、以下の6つのことに注意が必要です。

・低体温症
・ヒートショック
・かくれ脱水
・冬季うつ
・ノロウイルス
・関節痛

それぞれについて、簡単に説明と対策をご紹介します。

①低体温症

低体温症とは、体温が35度以下になるという状態です。低体温症になると、心臓や脳に障害が起こり、命に関わることがあります。高齢者は、寒さに対する感覚が鈍くなったり、体温を調節する機能が低下したりするため、低体温症になりやすいです。

低体温症を防ぐためには、以下のことを心がけましょう。

・室温を19度以上に保つ
・暖かい服装やひざ掛けを利用する
・暖かい飲み物や食べ物を摂る
・入浴時には湯温を40度以下にし、長時間浸からない

②ヒートショック

ヒートショックとは、暖かい部屋から冷たい部屋に移動するときに、血圧が急変して心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことです。高齢者は、血管の柔軟性が低下し、血圧の調節が困難になるため、ヒートショックになりやすいです。

ヒートショックを防ぐためには、以下のことを心がけましょう。

・部屋の温度差を5度以内に抑える
・入浴時には水分補給や温度調節をする
・外出時には防寒着やマスクを着用する
・適度な運動やストレッチで血行を良くする

③かくれ脱水

かくれ脱水とは、喉の渇きを感じにくくなると、水分摂取量が減って脱水症になりやすくなることです。脱水症は血液の流れや代謝を悪くし、さまざまな病気の原因になります。高齢者は、喉の渇きの感覚が低下したり、尿の量や色に気づきにくくなったりするため、かくれ脱水になりやすいです。

かくれ脱水を防ぐためには、以下のことを心がけましょう。

・一日に1.5リットル以上の水分を摂る
・食事に汁物や果物などの水分の多いものを加える
・尿の量や色をチェックする
・汗をかいたらすぐに水分補給する

④冬季うつ

冬季うつとは、日照時間が短くなると、気分を安定させるセロトニンという神経伝達物質が減少し、うつ症状が出やすくなることです。冬季うつになると、気分が落ち込んだり、睡眠障害や食欲不振などの身体的な不調が起こったりします。高齢者は、外出や交流の機会が減ったり、孤独感や不安感が増したりするため、冬季うつになりやすいです。

冬季うつを防ぐためには、以下のことを心がけましょう。

・日中に日光を浴びる
・セロトニンの生成に必要なトリプトファンを含む食品を摂る
・適度な運動をする
・趣味や娯楽を楽しむ
・家族や友人とコミュニケーションをとる

※トリプトファンについては、別記事で詳しく解説したいと思います。

⑤ノロウイルス

ノロウイルスとは、嘔吐や下痢などの胃腸炎を引き起こすウイルスです。ノロウイルスは、冬に流行することが多く、感染力が非常に強いです。高齢者は、免疫力が低下し、重症化しやすいです。また、脱水症や電解質異常に注意が必要です。

ノロウイルスを防ぐためには、以下のことを心がけましょう。

・手洗いや消毒を徹底する
・加熱が不十分な二枚貝や生野菜などを避ける
・感染者との接触を避ける
・感染した場合は、水分や塩分の補給をする

⑥関節痛

関節痛とは、関節に痛みや違和感が生じることです。関節痛は、寒さによって血流が悪くなり、関節の軟骨や滑液が減少し、痛みが出やすくなることが原因の一つです。高齢者は、関節の老化や炎症、変形などが進行し、関節痛になりやすいです。

関節痛を防ぐためには、以下のことを心がけましょう。

・保温やマッサージで血行を促進する
・関節に負担のかからない運動を行う
・カルシウムやビタミンDなどの関節に良い栄養素を摂る
・体重の管理をする

以上が、寒い冬に高齢者が気を付けることです。実際の支援の場面において、何を確認しなければならないのかは、利用者さまによって変わってきますが、知識として把握しておかなければならない事項です。冬は、高齢者の体にとって厳しい季節ですが、適切な対策を行えば、快適に過ごすことができます。冬に備えて、改めておさらいしておきましょう❗️