介護保険証とマイナンバーカードの統合〜介護情報基盤の運用がはじまります

訪問介護事業所は、要介護高齢者の在宅での生活を支えるために不可欠なサービスを提供しています。要介護高齢者の増加と人口減少社会の中でサービスを維持してゆくためには、効率的な事業運営が必要不可欠です。

これらの課題に応える形で、介護保険証とマイナンバーカードの統合が進められています。
医療分野でもマイナ保険証が導入され、従来の健康保険証は今年中に廃止されますが、介護保険証についても同様です。
7月8日に開催された「第113回社会保障審議会介護保険部」において、今後のスケジュールや課題等が検討されました。

介護保険証とマイナンバーカードの統合の背景

日本では、高齢者の増加に伴い、介護サービスへの需要が高まっています。しかし、介護職員の不足や業務の負担は大きな課題となっており、これを解決するためには、業務のデジタル化が不可欠です。このため、厚生労働省は、介護保険証をマイナンバーカードに統合することで、情報管理の効率化を図る方針を示しています。

  • 業務効率の向上: マイナンバーカードを用いることで、紙の介護保険証の管理が不要になり、事務作業が簡素化されます。
  • 情報の正確性: デジタルデータの活用により、利用者情報の正確性が保たれ、サービスの質が向上します。
  • 利用者の利便性: 利用者は一枚のカードで複数のサービスを利用できるようになり、持ち物が減少します。

介護情報基盤とは?〜未来の介護を支えるデジタル化の取り組み

介護情報基盤は、介護保険証とマイナンバーカードの統合をはじめ、介護サービス提供に関わる全ての情報をデジタル化し、それを共有・活用するためのシステムのことです。この基盤は、利用者、介護事業所、自治体、医療機関などが必要な情報をいつでも速やかに閲覧・確認できる新たなインフラを目指しています。

介護情報基盤の目的

介護情報基盤の目的は、利用者の利便性を高めるとともに、より効率的なサービス提供体制を構築することです。紙ベースのアナログなやり取りをデジタル化し、情報共有のスピードアップや職員の負担軽減などにつなげる計画が進められています。

介護情報基盤の構成要素

介護情報基盤では、以下の4つの主要な情報を取り扱います。

  • 要介護認定情報: 利用者の介護が必要な状態を示す情報。
  • 請求・給付情報: 介護サービスの請求や給付に関する情報。
  • LIFE情報: 介護施設や事業所におけるサービス利用者の状態やケアの計画・内容に関するデータ。
  • ケアプラン: 利用者に提供される介護サービスの計画。

これらの情報を介護事業所、利用者、市町村及び医療機関が共有し、利用者のケアの質を向上させることができます。

介護情報基盤のメリット

  • 情報の一元管理: 利用者に関する情報が一箇所で管理されるため、情報の整合性が保たれます。
  • 迅速な情報共有: 必要な情報がすぐに手に入るため、サービス提供の迅速化が可能になります。
  • 業務効率の向上: デジタル化により、紙の書類を使った手作業が減少し、職員の作業負担が軽減されます。

介護情報基盤の課題と対策

介護情報基盤の整備にはセキュリティ対策が必要です。使用端末や職員のアクセス権限の管理など、一定の対策が求められます。また、利用者の同意をどう得るかも重要な課題です。利用者情報の閲覧・共有には本人同意が不可欠であり、契約時に同意を得ることが想定されていますが、その際の負担や認知症の高齢者への対応などが課題として提起されています。

まとめ

介護保険証とマイナンバーカードの統合や介護情報基盤の運用は、訪問介護事業所にとって大きな変革をもたらします。日本が抱える様々な課題に対応し、介護サービスの質を維持向上させ、業務の効率化を実現するための重要な取り組みになります。
福祉の最前線で働く私たちも、時代の変化に応じて柔軟に、これらの変革に呼応しながら業務の効率化だけでなく、利用者の生活の質、介護サービスの質の向上を実現してゆく必要があるのでしょう。