来年度に迫る次期法改正
いよいよ来年に迫った介護保険の次期改正。
今回の改正は、いわゆる2025年問題を見据えた改正になります。
2025年問題とは、いわゆる「団塊の世代」800万人全員が75歳以上、つまり後期高齢者となり、超高齢社会が訪れることで生じるさまざまな影響のことを言います。
また、昨今の我が国では、介護に限らず、円安や深刻な人材不足、少子化、経済力の低下、IT業界における2025年問題(ITエンジニアの大量定年退職、基幹システムのサポート終了、複雑化し更新できなくなったシステム等)など、課題山積の中での改正になります。
介護や医療だけに注力するわけにもいかない現実があります。
私たちが携わっている訪問介護においても、利用者さんの利用料をあげれば利用控えも起きかねない状況で、逆に、利用料を据え置くと今度は、私たちが払う介護保険料が高騰してしまいます。
今、日本が置かれた状況の中で、社会保障制度がどうあるべきなのかは、私たち一人ひとりが考えなければいけない問題でもあります。
国の方では、こうした課題に向き合うために、介護事業の効率化や生産性向上の施策を数多く実施しています。
印鑑の廃止、書類の統一化と簡略化、オンラインでの届出、電子的媒体の活用促進、デジタル機器導入補助、ケアプランデータ連携システム等など、既にさまざまな施策が打ち出されてきました。
サービス提供責任者の仕事の中心は、調整業務や事務作業などのデスクワークになりますが、これらの事務負担の軽減が打ち出されてきました。
介護と言うと、利用者さん宅に訪問してサービスを提供する直接支援のイメージが強いのですが、管理者やサービス提供責任者に限って言えば、大半が事務作業なのです。
また、介護と言うと、決まった手順や作業を覚えることに注力しがちですが、社会保障制度は、その時代時代に応じて常に変化、改正されています。
これらの流れについてゆく必要もあり、日々新しいことを学んでゆくことが欠かせません。
デジタル機器やアプリケーション操作等の学びも不可欠なのです。
来年度の介護保険の改正は、これまで国が進めてきた施策の徹底を求められると共に、努力している事業所にインセンティブが付くような報酬体系になることも予想されます。
社会保障制度全体の中の訪問介護事業の位置付けを自覚しながら、求められるスキルや技術を学ぶことを怠らないでゆきたいと思います。