「骨太の方針2023」が示す介護保険の未来【2023年6月16日】

こんにちは。政府は先日6月16日に「経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太の方針)」を閣議決定しました。この方針は、今後の経済や社会保障に関する重要な課題や取り組みを示すもので、介護保険制度にも大きな影響を与えるものです。

今回は、「骨太の方針2023」がどのような内容であるか、そしてそれが次年度(2024年度)の介護保険の制度改正や報酬改定にどのような影響を及ぼすかについて考えてみたいと思います。

「骨太の方針2023」は、「異次元の少子化対策」と「持続可能な社会保障制度」を2本柱として掲げています。その中で、介護分野に関する主な内容は以下の通りです。

・2割自己負担の対象拡大については年末までに結論を得る
・介護事業者等に対する経営情報等の開示や協働化・大規模化等を推進する
・ロボットやICT等を活用した効率的・効果的なサービス提供やDX等に力を入れる
・人材紹介会社への規制 等

「骨太の方針2023」は、次年度(2024年度)に予定されている介護保険制度や報酬体系等の見直し(医療・介護・障害のトリプル改定)に向けた政府の基本的な姿勢を示しています。その中で、特に注目されるポイントは以下の2点です。

介護報酬の改定は、公費や保険料、自己負担などの増大につながります。政府は、効率的・効果的なサービス提供やDXなどによりコスト削減も図らなければならないとしています。このバランスを取ることが難しい課題となりそうです。

2割自己負担の対象拡大については、具体的な基準や時期を示さず、「年末までに結論を得る」と先送りしました。これは、対象拡大に反対する声が多かったことや、少子化対策のために高齢者からの負担増を避けたいという政治的な判断があったからだと考えられます。しかし、このままでは介護保険制度の財政的な問題は解決されません。政府は年末までに決断する必要がありますが、その際には利用者や家族の意見も十分に聞くべきだと思います。

私たちは、これらの動向に注目しながら、介護保険制度の持続可能性と利用者・家族の利益を両立させる方法を探っていかなければならないと思います。